退職する際に気になることは、転職のことと、その後の生活資金ではないでしょうか。
すぐに転職する場合も、しばらく休暇を取る場合でも、先立つもの(お金)がないと困りますよね。
損せず、退職金を受け取るためには、給付条件や勤続年数を考え、退職時期を考慮する必要があります。
できるだけ損せず、退職金をもらえるようにしたいですよね。
《体験談》私の退職の時はこんな感じでした
私は2度転職していますが、1つ目の病院は5年で退職し、2つ目の病院は3年で退職しました。
どちらの病院も退職金制度がある病院でした。
1回目の退職
最初に務めた病院は、公立病院でした。
退職金の給付条件は以下の通りです。
- 正規雇用である
- 勤続3年以上
病院からの退職金は約60万円程度でした。
比較的大きな病院だったので、厚生年金基金制度がありました。
厚生年金基金については以下のどちらか選択が可能でした。
・退職時に一時金として受け取る
・退職時に受け取らず、老後に年金とともに受け取る
つぎに就職する病院にこの制度があれば引き継ぎが可能な場合があります。
私の場合は、看護師5年目で退職しましたが、この厚生年金基金の分は退職時に受け取らず、企業年金へ移行し、老後に残しています。
少しでも老後の役に立てばいいかなと思い、そのようにしましたが、将来の年金制度がどうなるかはわからないので、そのときすべてを受け取るという友人もいました。
2回目の退職
2回目の退職は民間病院でした。
退職金の給付条件は以下の通りです。
- 正規雇用である
- 勤続3年以上
病院からの退職金は12万円でした。
基本給の1/2という計算でした。
かなり少なくて衝撃を受けました!
5年働いたとしても基本給1ヶ月分ということでした。
退職金制度ってどんなもの?
退職金制度とは、法律で定められている賃金や報酬とは異なります。病院によって独自に規定されている職員に対しての慰労金です。
法律で規定されていないため、退職金を設けていない病院もありますがこれは違法ではありません。最近では、退職金制度を設けていない企業も増えているようです。
自分の働く病院の制度がどのようになっているかを確認するようにしましょう。
退職金は大きく分けて以下の3種類があります。
退職一時金
一般的に退職金と言われているのは、退職時に一括で受け取るお金のことを言います。
退職金の算出方法は、基本給から計算する方法と、基本給とは関係なく、勤続年数で決められているものを基準として計算する方法があります。
企業年金制度
厚生年金基金制度は、「厚生年金基金法」に基づく企業年金制度(退職年金制度)です。
企業年金制度は公的年金への上乗せ給付を保障するもので、退職時ではなく、後に年金として支払われるものです。
退職一時金と併用している企業もあります。
厚生年金基金の掛金は、税法上の優遇措置が認められているのがメリットです。
加入員(厚生年金基金の加入者)が負担した掛金は「社会保険料控除」の対象となります。
年金が絡んでくると難しい話になりますが、この制度のある病院を退職する際に、この企業年金制度も含まれてきます。
退職時に以下の選択をする必要があります。
・退職時に一時金として受け取る
・退職時に受け取らず、老後に年金とともに受け取る
自分の働く病院の制度がどのようになっているかを確認するようにしましょう。
どちらが得かは現時点では正直わかりませんが、給付金額によっても違うので、退職手続きの際に相談してみるのも一つだと思います。
前払い制度
退職金前払い制度とは、退職金を月々の給与や賞与に上乗せして在職中に受け取る方法です。
最近では、年功序列型の退職金制度や企業年金制度を廃止する動きが増えてきて、退職金前払い制度を導入する企業は増加傾向にあります。
退職金前払い制度を導入すると、会社としては将来の債務となる退職金支給がなくなるのでメリットがあります。
また、職員にとっては月の給料が多くなるので、現在の生活を安定させ、モチベーションアップにもつながると期待できます。
しかし、退職一時金の場合は税金面で優遇されることに対して、退職金前払い制度の場合は上乗せ分も合わせて給与とみなされるため、結果として年収が多くなり、税金が高くなるといったデメリットもあります。
退職金をもらうために必要な条件
退職金制度の有無
まず確認が必要なのは退職金制度があるかどうかです。退職金制度がなければ、当然ですがもらえません。
退職金がもらえる病院は以下のような病院になります。
・公立病院
・病床数の多い総合病院
退職金がない可能性があるのは以下のような病院になります。
・入院設備のないクリニック
勤続年数
ここでまず大事なのは、正規雇用であることです。派遣や、アルバイトなどの非常勤は給付対象外となることがほとんどです。
退職金を給付するのは、勤続年数3年以上と定めている病院が比較的多いです。
病院によっては、勤続年数5年以上としていることもあります。
自分の働く病院の給付条件を確認するようにしましょう。
就職時期にもよりますが、勤続年数は満一年ずつで変わってくるので、通常は4月入職の場合は、年度末(3月)の退職が望ましいです。
中途退職は時期を選べば、ボーナスをもらえますが、数か月の退職時期の差で受け取れる退職金が大きく変わることがありますので、注意が必要ですね。
懲戒解雇になっていない
懲戒解雇になるのは、長期間の欠勤、個人情報、企業の情報などの漏えい、職場に迷惑・損害を与えた場合です。この場合は退職金は支給されないとしている病院が多いです。
退職金の算定方法
退職金の計算方法は4つあります。
①基本給×勤続年数
例えば、基本給が24万円、勤続年数が年の場合
24万×5年=120万円 となります。
②固定金×勤続年数
例えば、固定金10万円、勤続年数が5年の場合
10万×5年=50万円となります。
③基本給×勤続年数×功績倍率
功績倍率とは、役職についていた場合に、一般職員とは異なり、追加支給されるものです。
例えば、基本給が24万円、勤続年数が5年、功績倍率1.2の場合
24万×5年×1.2=144万円となります。
④勤続年数による規定
例えば、勤続年数が3年の場合
3年で40万円などと、病院毎に決められています。
固定金や功績倍率(職場への貢献度を表す)は病院によって違います。
役職についていた場合などは、功績倍率が高くなります。
退職金の具体的な算定方法については、公開していない病院も多いので相場の比較は難しいですが、一般的に退職金が高いのは、公務員と言われています。
参考程度になりますが、公務員の場合は以下の計算に基づいて支給されます。
国家公務員の退職金の計算式
・退職手当額=退職日の俸給月給(国家公務員の月給)×退職理由別・勤続年数別支給率
地方公務員の退職金の計算式
・退職手当額 = 基本額 + 調整額
・基本額 = 退職日給料月額 × 退職理由別・勤続年数別支給率
・調整額 = 調整月額のうちその額が多いものから 60 月分の額を合計した額
自分の働く病院がどの方法を採用しているかは、事務に確認すると教えてくれます。
上司に退職の意向を伝えていない場合は、報告前に伝わることがないように内密に確認しましょう。
box class=”box28″ title=”私の場合”] 私の場合は、公立病院に5年勤務したときは、約120万円(退職一時金60万円+企業年金60万円)くらいでした。計算方法でいうと、①に当てはまります。
その後、民間病院で3年勤務したときは、約12万円でした。計算方法でいうと、④に当てはまります。[/box]
当たり前のことではありますが、勤続年数が短いと退職金はあまり期待はできません。
公立病院で地方公務員扱いで働いていた看護師でも、公立病院が独立行政法人へと意向していく病院が増えているため、準公務員(公務員に準ずる)扱いとなり、年々給付額が減り、厳しくなっています。
まとめ
ここまででお話し方法したように退職金制度については、病院によって様々です。
現在働いている病院を辞める際は、就業規則を確認しましょう。
また、次に転職をする際は、退職金制度がある病院を選択するようにするといいと思いますよ。
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