看護師になるには?タイプ別学校の種類と選び方

看護師になりたい!と思ってはいるけれど、実際どこで学べるのか、どうやったら資格がとれるのかよくわからない方もおられるのではないでしょうか。

看護師免許を取得するためには、大学や、短期大学、専門学校など様々な学校の選択肢があります。

ここでは、それぞれのメリット、デメリット、選ぶ基準などについて説明していきますね。

【体験談】私はこんな感じで学校を選びました

当時は看護大学や看護学部の数が今より少なく、看護師になるには、専門学校が主流だったので、看護専門学校を選びました。

将来は看護師になるということを決めていて、特に他の職業も考えていなかったので、迷わず看護専門学校に入学!

私が専門学校を選択したポイントは、以下の点です。

  • 自宅から通える範囲
  • 学費が安い
  • 実習先が近い
  • 最短の3年で看護師になれる

家が厳しく、学生のうちは一人暮らしは許されていなかったので、通学時間が1時間以内の学校を探しました。

学費もできるだけ安くという理由で専門学校を選びましたよ。

実習先については、付属病院がすぐ近くにあれば、就職にも困らないし、実習も遠くに行かなくていいので選びました。

3年間で看護師免許が取得できるので、早く働くことができるのが魅力だと思いました。

でも、大学生と比べると、学生でいられる時間が1年少ないのもあって、本当にカリキュラムがぎっしりで、なおかつ夏休みも大学より短くてすごく大変だったのを、今でも覚えています。

正直、学生時代にはもう戻りたくないなーと思います。

ほんとに大変でしたが、技術演習や実習(学内実習を含む)が充実していたため、”専門的に学ぶ”という意味ではとても良かったと思っています。

就職した際も、学生の間に学んだことや経験したことがすぐに生かせることがたくさんありました。

今働いている病院では実習指導を担当していますが、大学と専門学校の学生を比較すると、実践能力という点では、たくさん技術練習や実習をしている専門学校の方が正直高いと感じています。

このような私の体験談も踏まえて、学校選びのポイントを順番に掘り下げて説明していきますね。

看護師の仕事とは

そもそも看護師の仕事とは、どのようなものでしょうか。

看護師の仕事は、主に以下の2つになります。

診療の補助

医師が患者を診察する際の補助。医師の指示に基づいて行う行為です。

例えば、点滴、注射などがこれにあたります。

また、医師がスムーズに処置や治療が出来るように、検査等に必要な物の準備や患者の状態の観察、患者についての報告をすること、など多くの補助があります。

療養上の世話

様々な年齢の健康障害がある人や、自分で自分のことができない人たちの日常生活のサポートを行うことです。

また健康を損ねたときには、できるだけ早く回復できるようにサポートしたり、健康増進のための援助を行うなどがあります。

看護師とは病気だけを観察するだけではなく、患者の生活全体を看ます。

患者の入院生活を24時間通して看るので、夜勤業務があったり、休日は不規則になるため、自分の健康管理をきちんと行うことが大切ですよ。

看護師になるには

看護師になるには、看護師国家試験に合格することが必要です。

国家試験の受験資格は、以下の方法で得られます。

高校卒業後に看護師免許をとる場合

看護大学、看護学系学部がある大学に行く

看護大学や看護学系学部がある大学に4年間通うことで、看護師国家試験の受験資格を得ることができます。

看護大学では、さらに選択制で保健師や助産師の受験資格も得られます。

また、学士として、卒業後にそのまま大学院に進学することができます。

看護専門学校、短期大学(3年)に行く

看護専門学校、短期大学に3年間通うことで、看護師国家試験の受験資格を得ることができます。

この課程で看護師資格を持った人は、卒業後、保健師あるいは助産師になるために、それぞれの養成課程に進学することができます。

また、大学への編入も可能です。

中学卒業後看護師免許をとる場合

5年一貫看護師養成過程校に行く

中学卒業後、5年一貫看護師養成過程校に通うことで、看護師国家試験の受験資格を得ることができます。

准看護師免許取得後、看護専門学校に進学して看護師免許をとる場合

高校卒業者の場合

高校卒業後、2年間の准看護師養成所に進学できます。

准看護師免許取得後、2年(全日制)あるいは3年(定時制)の看護師学校に通うことで受験資格を得ることができます。また、大学への編入もできます。

中学卒業者の場合

中学卒業後、3年間の准看護師養成所に進学できます。

准看護師免許を取得し、さらに3年間の准看護師としての実務経験が必要です。

その後に2年(全日制)あるいは3年(定時制)の看護師学校に通うことで受験資格を得ることができます。

この場合は高等学校専攻科や短期大学には入学できません。

准看護師免許取得後、通信制看護学校に進学して看護師免許をとる場合

准看護師免許取得後に、7年間の准看護師として実務経験の後、2年間の通信制看護学校を修了して看護師国家試験受験資格を得られます。

以前は実務経験は10年以上とされていましたが、2018年より7年以上と短縮されました。

准看護師として働きながら単位を取るもので、臨地実習が少ないカリキュラムになります。

進学先別のメリット、デメリット

どの学校も看護師免許は取得できますが、それぞれの学校により学ぶ期間や卒業までに得られる内容が違ってきます。

進学先別のメリット、デメリットについては以下のようになります。

看護大学、看護学系学部がある大学

メリット
  • 4年間通うことで、看護師国家試験の受験資格を得ることができる
  • 看護師だけでなく、選択制で保健師と助産師の国家試験受験資格を得ることができる
  • 卒業時に、”学士”の学位が得られる。
  • 大学院に進学することができる
  • 4年間あるので、看護についてじっくり学びたい人に適している
  • 看護師になるための専門知識以外に、一般教養科目が学べるため、幅広い教養を身につけることができる
  • 大学は研究や教育者を養成することを目的とした教育機関なので、「学問的な視点での看護」「自分で考える力」などの学術的な知識の習得を重視する人に適している
  • ほとんどの病院では、専門学校や短期大学卒と比べて、7000~9000円程度基本給料が高い(2018 看護協会データーより)
  • 大学の図書館が充実している、インターネットの利用環境が整っているなど設備が充実している
デメリット
  • 看護専門学校、短期大学(3年)と比べ社会人になるのが1年遅れる。
  • 専門学校や短期大学と比べ、学費が高額である(大学によって違います)
  • 専門学校と比べ、実技、実習(学内含む)が少ない

こんな方は大学がオススメです

・看護師以外の助産師、保健師の資格を同時に取得したい
・現場ではなく、教員や看護研究者になりたい
・看護師以外の一般教養科目の勉強もしたい

最近は看護大学や看護学部が増えているので、大学に進学する人が増えてきています。

短期大学(3年)

メリット
  • 3年間通うことで、看護師国家試験の受験資格を得ることができる
  • 専門学校と比べ、一般教養が学べて、なおかつ大学(4年)より早く現場に出られる。
  • 短期大学では学士の学位が得られる。
  • この課程で看護師資格を取得した人は、保健師あるいは助産師になるために、各養成課程に進学することができる
  • 大学への編入も可能である
  • 養護教諭二種免許が取得できる場合がある。養護教諭二種免許を取得すると、学校で働くことができるため、進路の選択肢が増える
  • 大学と比べると小規模なところが多く、マンツーマンでの就職指導などが受けやすい。
デメリット
  • 4年制大学の拡充に伴って、3年制短大は縮小傾向にあり、学校数が少ない。
  • 4年生大学卒に比べ、基本給料が安い
  • 専門学校に比べ、実習(学内含める)が少ない

こんな方は短期大学がオススメです

・養護教諭二種免許が取得したい(学校により違います)
・早く現場にはでたいが、専門科目だけでなく、一般教養も学びたい

最近では、4年生大学が増えているため、短期大学は学校自体が少なくなってきています

看護専門学校

メリット
  • 3年間通うことで、看護師国家試験の受験資格を得ることができる
  • 4年制大学よりも1年早く卒業できるので、早く社会人になりたい人に適している
  • この課程で看護師資格を取得した人は、保健師あるいは助産師になるために、各養成課程に進学することができる
  • 大学への編入も可能である
  • 看護師として必要な実践的技術を3年で身につけられる
  • 実技・実習がメインのカリキュラムが学べる
  • 現場で働くため実践者を養成するための教育機関であり、実技や実習が充実しているため、就職後に即戦力となりやすい。
  • 学費が大学、短期大学に比べ安い(学校により差がある)
  • 奨学金の給付があり、指定病院での一定期間の勤務で返還不要という学校がある
デメリット
  • 専門科目が多いため、一般教養の科目が少ない
  • 看護師になるために専門的に学びたいと思っていないと、続きにくく、他の学科の変更ができない
  • 卒業時に取得できる資格が看護師のみである
  • 大学よりも短い期間で学ばなければいけないため、毎日朝決まった時間から一日中授業がある
  • 大学や短大と比べ自由時間が少ない
  • 4年生大学卒に比べ、基本給料が安い
  • 学校によっては入学試験の倍率が高い(社会人の受験者も多いため)

こんな方は看護専門学校がオススメです

・できるだけ早く現場に出たい
・一般教養よりも専門科目を重点的に学びたい
・看護技術をしっかり身に付けたい

進路がはっきり決まっているのであれば、専門性が高いので看護学校で学ぶといいですよ。

5年一貫看護師養成過程校

メリット
  • 中学卒業後、高等学校5年一貫教育のコースに通うことで、看護師国家試験の受験資格を得ることができる
  • 最年少で、現場に出られる
デメリット
  • 看護師になるために専門的に学びたいと思っていないと、続きにくく、学科の変更ができない
  • 学力が中学卒業レベルでの入学となるので、基礎学力がないため、進路変更が難しい
  • 5年一貫看護師養成課程校数が少ない

准看護師免許取得後、看護専門学校に進学して看護師免許をとる場合

メリット
  • 看護師より早く資格が取得できる
  • 准看護師免許取得後、働きながら看護師の学校に通える(定時制)場合がある
  • 准看護師でも就職先に困らない
デメリット
  • 准看護師資格取得後であるため、看護師免許取得までの期間がかかる
  • 准看護師制度は今後廃止制度になる方向のため、養成所は少なくなっています

こんな方は5年一貫看護師養成過程校がオススメです

・できるだけ最短で(20才)看護師(准看護師)の資格をとり、現場に出たい
・学費をできるだけ安くしたい

ここまで説明してきたように「大学は研究や教育者を養成することを目的とした教育機関」であり、「専門学校は、現場で働くため実践者を養成するための教育機関」という教育の目的が違います。

要するに、看護教育に携わりたい(教員や研究者)人は、大学が向いていて、現場で働く実践能力を最短で身につけたい人は専門学校が向いています。

そのため、自分が今後何を目指すのかを考えて学校を選択しましょう。

学費を安くする方法(奨学金制度の活用)

学校によって学費は様々ですが、専門学校のほうが比較的安い傾向があります。(学校によって違います)

しかし、より負担を少なくするためには、奨学金制度というものがあります。

奨学金制度とは、看護師以外の学生を対象にしたものと、看護師・助産師・保健師を目指す学生を対象にしたものがあります。

独立行政法人・日本学生支援機構の奨学金

内容
  • 日本最大規模の公的奨学金制度
  • 貸与対象は看護学生に限らない
  • 学力・家計などの審査がある

都道府県・市町村の看護師等修学資金貸与事業

内容
  • 都道府県・市町村による奨学金制度
  • 貸与対象は看護学生のみに限る
  • 卒業後、その都道府県・市町村内の指定の医療機関で一定期間働くことにより返済が免除される

病院奨学金制度

内容
  • 個別の病院や病院グループ独自の奨学金制度
  • 貸与対象は看護学生のみに限る
  • ほかの奨学金制度とも併用できる
  • 卒業後、その病院で一定期間(病院によって違います)働くことにより返済が減額または免除される

看護学生(大学・短大・専門学校の入学予定者または在校生)を対象に、病院の条件にあった期間を指定された病院で働くことで、返済は免除されることがあるのが、看護奨学金制度の特徴です。

気を付けておきたいのが、就職先が限定されることがあることや、返済免除の期間までに退職した場合は一括返済を求められることがあるということです。

卒業後、病院奨学金制度を受けた病院に必ず就職するということを決めているのであれば、この制度を利用することをおすすめします!

以上の点を踏まえて、学力審査の有無、貸与額、返済義務の有無、返済免除の条件、利子など、詳細をしっかり確認した上で、奨学金制度をうまく活用しましょう。

私の場合

私の場合は、病院奨学金制度を利用しました。

金額ははっきりとは覚えていませんが、月2~3万円くらいでした。卒業までの3年間もらいました。

付属の病院で3年間勤務すれば返済しなくてよいというシステムで、無利子でした。

実際に3年以上勤務したので返済はありませんでした。

今働いている病院では、月額3万円から5万円の範囲内で、1万円単位で貸与額が選択できるようになっていますが、貸与人数が10名程度と、かなり限定されています。

また、返済免除は5年以上勤務した場合となっています。

学費が心配な場合は、希望する看護学校にこのような制度があるか事前に確認しましょう。
その時、返済条件なども必ず確認しておくといいですよ。

まとめ

ここでは、看護師になるための学校の選び方について説明してきました。

看護師免許取得ということに関しては、どの学校でも可能ですが、自分が就職後にどこを目指すのかで選択肢が変わります。

それぞれのメリット、デメリット、選び方を参考に、自分に合いそうな学校を選んでくださいね。

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